分かったつもりの備忘録

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音楽はすべて「オリコン」の中だった

音楽はすべてオリコンの中だった。

 

わたしが中高生のころはツイッターなんてなくて、18歳以上になれば招待制でmixiに入れた。SNSなんてはじまりのはじまりだった。

だから、情報の入り口はいつもテレビだった。テレビに映る世界が「芸の世界」だった。

 

それでもオリコンには常々アジカンバンプが割り込んできていた。幸せな時代だ。

カラオケではいつもシンクロを邪魔するザリガニのMVを見ていたし、雪道に足跡つけてく歌詞画像を待ち受けにしていたし、机や下敷きに好きな歌詞を書き連ねて授業を乗り越えたりしていた。

 

きっかけの日は覚えてない。けどそんな日々を過ごしている中で、同級生が1枚のCDを貸してくれた。「ロックが好きなら」と。

その子は少しおとなしめの子で、少し意外だなと思った。けど、そんな子がおすすめだよってロックバンドのCDを貸してくれたことが凄く嬉しかった。

 

それが、ELLEGARDENのBRING YOUR BOARD!!だった。

 

そこからは早かった。だって、めっちゃくちゃに格好良かった。

「音楽=テレビで見るオリコンランキング」しか知らなかったわたしにとって、その外側は知らないことだらけだった。

お小遣いで一気にCDを買うなんてできなかったから、近所のレンタルCDショップに行って「ELLEGARDEN」と書いてあるCDをとりあえずあるだけ全部借りた。

最初は彼らが日本人なのか外国人なのかもわからなかった。

全員日本人だと知ってからは「日本人なのに全部英語で歌ってる曲がこんなにあるのか、すごいなあ」と思った。だって少し前までわたしの「音楽」のすべてだった「テレビで流れる日本の歌手の歌」は、全英語詞なんてめったに無かった。

 

そして、その「全部英語」の歌詞が、まったく理解できなくてすごく悔しいなと思った。

「”Wannabies”ってなんなの、ジーニアス英語辞典に載ってないじゃんか」と思った。

それから英語を勉強した。わかることが増えるのは嬉しくて、ELLEGARDENの奏でる音楽の意味が分かるのが嬉しくて、気が付いたら英語の教員免許も持っていた。

教育実習に行った時には、担当の先生に「あなたの発音、どこか少しクセがあるんだけど、どこに留学した?」と言われた。

わたしは留学をしたことが無かった。わたしが一番聴いてきた英語は細美武士の歌う英語だった。何の自覚も無かったけれど、わたしが「クセがある」と言われた箇所は、面白いくらいに全部「細美武士の歌いグセ」だった。

 

だけど、その時にはもうELLEGARDENは歩みを休めていた。

わたしは彼らに会えないままだった。

 

それでも、彼らのおかげで「テレビの外側にある音楽」を知ったわたしは、色んな音楽に出会えた。日本全国に友人ができたし、引っ越した街にも仲間ができたし、気が付いたらまさかのDIYで野外音楽フェスを開催していた。人生どこでどうなるかわからない。

 

大学を卒業して社会人になった頃には、MONOEYESが生まれた。

ある日たまたまBa.スコット・マーフィー氏と一瞬だけ英語で話したとき、「発音綺麗だね、どこの国で勉強したの?」と言ってくれた。

少しだけ既視感のある質問に、「留学したことないです、日本(で勉強した)。」と答えた。

わたしは、「細美さんの曲で勉強したんです、 "Wannabies"の意味すらわからなかったのが悔しかったから。」と笑った。

すると、スコットは「一緒にツアーまわってた、懐かしい。」と言ってそのまま少しエルレの曲を口ずさんでいた。

 

それからまた数年が経って、2018年5月10日の夕方、そのスコットのツイートを見た。ELLEGARDENが、帰ってくることを知った。

 

その日、本当は友人と映画を見に行くはずだったのに、「ごめん、映画見てる場合じゃなくなった」とドタキャンしてしまった。ドタキャンしたうえで、「ELLEGARDENが帰ってきた」「ねえ、お酒が飲みたい乾杯したい」と我儘をきいてもらった。

遠くの街に住む、音楽を大好きになったおかげで出会えたひとからも、「仕事なんてやめて飲みに来た」と連絡が入った。あの頃には無かったTwitterでも、たくさんの人が浮足立って乾杯していた。

あんなにも「祝杯をあげる」という言葉が似合う日を過ごしたのは初めてだった。

 

昔々のわたしにとって、音楽はすべて「オリコン」の中だった。もっと言えば、「テレビでたくさん見るひとたち」だけだった。

初めてその外に踏み出したとき、全然知らない、わけのわからない、でもべらぼうに格好良い世界が待っていた。

 

そのスタートになった音楽を直接感じられないまま今日まで来た。

10年経って、そのチャンスが来た。

「全員笑顔にすっかんな:-)」なんてセリフ引っ提げて、チャンスと感動が襲ってきた。

 

もう笑顔だ。

でももう泣き顔だ。

楽しみなんて言葉じゃ消化しきれない、10年に比べれば、8月なんて目の前だ。

 

 

【2018/6/1 13:00追記】

チケットはずれました!心臓痛すぎるけど頑張ります!

【2018/7/3 13:00追記】

最終先行もチケットはずれました!心が痛い!つらい!でもELLEGARDENが帰ってきたときの気持ち思い出して頑張ります!

【2018/12/8 12:00追記)

この後、本当に夢みたいな出会いがあってZOZOマリンスタジアムELLEGARDENに会えました。以下のエントリがその思い出記録です。

▼ずっと大切にしてきた宝箱を背負った日までの話

http://igotcha.hatenablog.com/entry/2018/08/23/030024