わかってみたくてBUMPがくれた“utter u of ice”について考えたこと
「考えてみてほしい、金魚が一度でも君を責めたことがあったかい?」
最後に言葉へ意味を持たせるのは、結局のところ受信者ただひとりです。
こんにちは。自分の晴れ女を過信している26歳がちゃぴんです。
過信していることにより「出かけるときに天気予報を確認して傘を持つ」という習慣が日常生活から欠落しています。年に何本傘買うねん。
さて、本当なら2月が終わるはずだった2/27-28の週末、皆さんはどのように過ごされましたか。
そして今日は4年に1度の閏日。4年のうち3年には存在しない日。
去年なら働かなくても良かった日です。
モチベーション、あがらないよね!
上がらないモチベーションと進まない仕事から目を逸らすために本日投稿したこのエントリは、「BUMP OF CHICKENがくれた言葉“utter u of ice”について、自分なりに思ったことをまとめてみた」ものです。
“utter u of ice”とは、2016/2/10にリリースされたBUMP OF CHICKENの最新アルバム「Butterflies」に隠された暗号と言われている言葉です。
せっかく働かなくても良いはずの日なので、起きている時間をまるっとすべてかけて熱い想いを込めたブログを書いてみました。言い方を変えると、BUMP OF CHICKENという幻想世界に逃げ込みました。
何故突然この記事を書いたかというと、ただただ素直に、書きたかったからです。BUMPの暗号について、どこかに書きたかったからです。
「だってBUMPだよ?わたしがリアル厨二病のオンタイムにユグドラシルなんていう無敵アイテムをリリースしてくれたバンドだよ?そんなバンドが「暗号」と思われるメッセージを発信してくれたんだよ?それはもう飛びつきたくなるトピックじゃない?猫まっしぐらじゃない?ニコルまっしぐらじゃない?
動かないコンパス片手に乗せてでも錆びついた車輪が悲鳴挙げてでも舵を取って夜明けを待たないで帆を張る愚かなドリーマー状態じゃない? 」
くらいの勢いで、進むことを止められない欲望のもとこの記事を書き上げました。
まず、この”utter u of ice事変”について何もご存じない方向けに軽く説明させていただきます。
2016/2/10にリリースされたBUMP OF CHICKENの最新アルバム「Butterflies」に「隠された暗号がある」と言われた由縁は、とある文字列がジャケットに記されたためです。
そのジャケットがこちら。
(引用: BUMP OF CHICKEN | TOY'S FACTORY )
ジャケット全面に黒字で繰り返し、そして下部中央にネオンカラーで”BFLIESBMPCHKN”と記されています。
この文字列を「Butterflies / BUMP OF CHICKEN」と読むため落とされた文字を並べると
”BFLIESBMPCHKN”
↓
”ButterFLIES BuMP of CHicKeN”
↓
”utter u of ice”
となることから、”utter u(you) of ice”はBUMP OF CHICKENから届いた秘密のメッセージだという話になりました。
(u:youのスラング表記)
これを受けて、わたしの愛するツイッターではさまざまな意見があがっており、
「完璧な宝石(ダイヤ)をアナタに捧ぐって意味になるらしい」
「いや、完璧な宝石(ダイヤ)のようなアナタに捧ぐのほうが」
というような旨のツイートが一日に5回ずつくらい回ってきてました。
この訳はどちらも、"utter"に形容詞的意味の”完璧な”をあて、"ice"が”ダイヤモンド”という意味を持つことをひとつのカギにした意見かと思います。
なんてったって、BUMP OF CHICKENのメジャーデビュー曲タイトルは「ダイヤモンド」、そして「Butterflies」は(本人たちは意図せずそうなったとも言っていますが)結成20周年記念ライブ前日にリリースしたアルバムで、作品中にも「宝石」の単語が複数回登場します。暗号がそんな意味を持つとしたら、厨二心をくすぐりすぎてもう呼吸困難。
そして別派の意見として”utter”に動詞的意味の「口に出す、吐き出す、表現する」を持たせた
「宝石のようなあなたを表現するでは?」
なんて意見も多く見られました。BUMP OF CHICKENが「宝石のような我々」を歌って表現してくれる一枚、なわけです。
やだもう厨二心が意識不明。
ただ、わたしはどうしても、”u of ice”の訳し方に違和感がありました。
それは一部ツイッターユーザーの皆様も感じていたようで、「文法的におかしいからなあ」との声を複数お見かけしました。
まあ、そこに「BUMP OF CHICKENなんてバンド名から文法の怪しいヤツらだぞ」なんて言われたらひとたまりもないのですが。
ただ、個人的にどうしてもしっくり来なかったわたしは、色々と考え、仕事を投げ出してずーっと考え、
「"utter u of ice"ではなく"utter ice of u"ではないか」という結論に至りました。アナグラム、とまではいきませんが、"u"と"ice"を入れ替えた文です。
※このあと薀蓄並べてドヤアァァって顔した自己解釈載せるんですが、「ただのツイッター廃人が何言ってんだ」って感じで英語がなんたら和訳がなんたら言うんですが、学生時代には頑張っていたので、わたし、使いどころのない英語科の中学校教諭一種免許状と高等学校教諭一種免許状を一応ながら持っています。なので良ければそれなりに信じて読んでやってください。
さて本題ですが、"utter ice of u"にすると文法的にもそれなりに意味の通る文章になります。
そして、その訳は、
Utter ice of u. :君の中の”冷たさ”を打ち明けて。
ではないかと、思っています。
utterは動詞であれば他動詞として「打ち明ける」の意味があり、元々「内向きのものを外に出す」のニュアンスがある単語です。それを頭に持ってきたこの文を命令形として訳すと、上記のようになります。 そして、アルバム「Butterflies」のリード曲「Butterfly」の歌い出しは、この言葉です。
誰にも聞こえない悲鳴が 内側で響く
気付かないふりした人が 気付かれるのを待っている
内側で響くその人にしか聞こえない悲しい心の声を「打ち明けて」という"Utter ice of u."、そう取ると、Butterflyの歌詞と一致してくるように思えます。
utter ice of u.の言葉においては、その「悲しい心の声」を”心の中の冷たい部分”、もしくはもっと直接的に”心の中の氷”とするのかもしれません。
そして、もう一つ。
会話文等において、主語が自分たち(一人称)である場合に主語を省略し動詞から書きはじめる書き崩し方はよく見られます。
よって、この”utter ice of u”を、同じ文章のまま、彼らBUMP OF CHIKENが発した言葉として、主語に一人称" I / We "がある前提として取ると
(I / We) Utter ice of u. :僕たちが、君の宝石(ダイヤモンド)を表現するよ。
今度はutterを他動詞「表現する」として訳し、"ice"は同じ名詞で"宝石・ダイヤモンド"の意味に取り直しました。
そしてアルバム1曲目の「GO」、サビの歌詞はこちらです。
心が宝石を生む度に 高く浮かべて名前付けた
忘れられてもずっと光る
星空は君が作ったもの
なお、utterを「表現する」と取るのは、「(詩や絵など、芸術を)表現する」という意味にあてる時の訳し方です。やはり元々「内向きのものを外に出す」というニュアンスがあるからこそまさに、というところです。
つまり、【君が「心の中の氷」を外に出してくれたなら、それを僕たちが「ダイヤモンド」として歌にするからね】という2つの意味を持たせての"utter"と"ice"なのではないでしょうか。
勿論、他の方のご意見もいろいろある中、どれが正解、なんてものはありません。
ただ、個人的にはこの「実は"utter ice of u"」説を推したいです。
20年間ずっと、孤独や葛藤に寄り添って愛情を温かく歌い上げてくれたBUMP OF CHICKENからのメッセージだとすると、この解釈がとてもしっくりくる気がするんです。
そしてもう一つ、この案を推したい理由は、
1つの言葉で2つの意味を持たせるなんてなんかBUMPっぽくない?テンション上がらない?
その昔、厨二病オンタイムのわたしの心に刺さった「K」という曲があります。
歌詞はこちら。
(リンク先: www.uta-net.com )
黒猫に「黒き幸、ホーリーナイト(Holy night)」と名付け、そして命がけで主人のために走ったホーリーナイトへ「K」の文字を与えて「聖なる騎士、ホーリーナイト(Holy Knight)」として埋葬する、そんな物語を歌った曲です。
そんな物語を歌った曲です。
そんな物語を歌ったバンドです。
1つの言葉で2つの意味を持たせるなんてなんかBUMPっぽくない?テンション上がらない?
そう、この案を推すのなんて、結局わたしの「なんかそんな気がする」です。
「そうならなんかテンションあがる」です。
突然ですが、今日のブログは、「考えてみてほしい、金魚が一度でも君を責めたことがあったかい?」というとあるところから引用した言葉で始めました。
金魚は、犬や猫と比べ「ペット」と認識されることは少ないけれど、多くのひとの幼少期の思い出に彩を添える、そんな生物です。
犬や猫と違い、鳴き声もなく、「人間が位置と広さを決めた水槽」から出てしまえば生きていけない生物です。
その金魚が、一度でも人間を責めたことがあったでしょうか。
そしてこの言葉の中で、「金魚」は一体何を表すのでしょうか。
実はこの言葉は、今回この記事で取り上げたBUMP OF CHICKENの最新アルバム「Butterflies」に収録された隠しトラック「TO.I.KI」の歌詞の一部です。
簡単に言うと、定期的にふざけるBUMP OF CHICKENが今回もボーカル藤くんを無駄遣いしてふざけ倒しただけの一文です。
つまり、おそらく真面目に考察するだけ無駄です。なんてったってこの曲、「走り出せちゅるるるん!」で始まりますからね。
しかし、この一文を全く知らずに読んだ方の中には、この文章を「ネットあるあるな自己陶酔ポエムの一文」として軽く読み流し方がいらっしゃるかもしれません。
もしかすると「あのBUMPについての記事だし、読み進めると深い意味を持ちそうだ…」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし「ふざけ倒した曲の歌詞の一部」と知っているButterfliesリスナーにとっては「こいつ初っ端からふざけてやがる」状態な書き出しです。
Butterflies自体は聴いておらずとも、これまでの彼らの隠しトラックを知った方であれば「あのBUMPに関する記事だし、これ絶対ふざけてるわ」と受け取る可能性もあります。
ちなみにわたしのおすすめ隠しトラックはダントツで「星のアルペジオ」です。
BUMP OF CHICKENは、幼いわたしの「タイトルに英語(カタカナ)があると格好良い」「星がテーマってロマンチック」「クリスマスは素敵ラブソングが多い」「シークレット曲はまさに隠れた名曲」というすべての幻想を一曲で打ち砕いてくれたバンドです。聴いてください、星のアルペジオ。
— がちゃぴん(やきにくたべたいbot) (@hosomiholic) 2016年2月16日
(リンク先: www.youtube.com )
全力で脱線したうえで何をお伝えしたいのかというと、この書き出しの歌詞の続きへ書いた一文、「最後に言葉へ意味を持たせるのは、結局のところ受信者ただひとり」ということです。
発信者についての情報、言葉の背景への理解、自分が積み重ねてきた生活に基づく思考回路、そういったものに基づいて、「言葉の受取り方」は大きく変わっていきます。
つまり、こんな大層な遠回りをしたうえでわたしは今、「"utter u of ice"に意味を持たせるか持たせないかは、アナタ次第です。」というここまで書いた400字詰原稿用紙10枚以上の文章を無に帰すかのような結論にまとめたいと思っています。
受取った言葉にどんな意味を持たせるか、どんな重みを持たせるか、それは受信者にしか知りえない部分であり、発信者と受信者が持つそれぞれの背景にも大きく影響を受けます。
例えば「今年も頑張れっ」なんてありふれた言葉ですが、今年の新年早々、26歳のわたしに向けて細美武士がいつものあの笑顔で「今年も頑張れっ」と発した、その事実とその7文字でわたしは今年どころか数年生きられます。むしろ息絶えそうでしたが。
同じ言葉でも、発信者が受信者にとってどんな存在か、受信者が今どんな背景を背負っているのか、そんな諸々で、「同じ文字列」は「言葉」としていくらでも変化します。
とは言え、もちろん「発信者が持たせたかった意味」はきっと存在します。そして、「発信者がその意味をどこまで伝えるか」という発信者の自由もあります。
発信者が持たせた「生まれたときの意味」を「どう温めるか」が、我々受信者ひとりひとりの自由であり、責任を持たされた部分です。
”utter u of ice”は、一度BUMP OF CHICKENの手から放たれ「Butterflies」が世に独り立ちしたその時から、そもそもその存在すら受信者の解釈の自由により発生した側面があります。リスナーによる、「きっと何か意味を持つはずだ。」という見方から、徐々に温められた言葉です。
この言葉を「完璧な宝石を君に」と受け取ることも、「宝石のようなアナタに捧ぐ」と解釈することも、結局のところ受け手の自由。そこに眠る「私とBUMPの関係性」から、きっと多様に変化します。
今回の場合は、「発信者BUMPが持たせたかった意味」が不明瞭であるからこそ、特にです。
先日、こんなことを呟いたのですが、BUMP OF CHICKENはわたしにとって「人生に沿ってテーマ曲を奏で続けてくれたバンド」です。
今26歳の私がBUMP OF CHICKENに無条件ワクワクするのは、オリコンしか知らなかった頃に天体観測に出会い、恋に憧れ始めた頃スノースマイル、厨二病真っ盛りにロストマン・アルエ、青春の区切りに花の名、と見事に人生に沿ってテーマ曲を提供されているような気分になるからかなと思う
— がちゃぴん(やきにくたべたいbot) (@hosomiholic) 2016年2月5日
そんなこんなに思いを巡らせ、わたしは今回のBUMP OF CHICKENからのメッセージについて「"Utter ice of u"として2つの意味を持っていてほしい」と思いました。
独り抱え込んでいた孤独や葛藤を、「表に出して良いもの」として宝物のような何かへ昇華してくれる、そんなBUMPでいてほしいと思いました。
以上、"utter u of ice"についてわかってみたくて考えたところ、わたしにとっては「Utter ice of u.:君の中の”冷たさ”を打ち明けて。僕たちが、君の宝石(ダイヤモンド)を表現するよ。」に行き着いた、というエントリでした。
なお、どうでもいい(もしかするとどうでもよくないかもしれないような)ことを最後に書き添えると、記事内で紹介した「Butterflies」隠しトラックのタイトルは「TO.I.KI」ですが、「吐息をもらす」「溜息をつく」などは英訳すると”utter a sigh”です。
いつか「発信者が持たせた」意味が明かされる日がきたら、ここを見てくださった皆さまと集まって「受信者として持たせた意味」について語り合いたいものです。
もちろん集合時間はあの時間、集合場所はあの場所、担ぐのはあの持ち物、合言葉は、古から伝わるあの言葉。
オー、イエー、ヘイ、アハーン